さ・え・ら書房編集室雑記(2002/11/20) Topへ戻る

  • 前回のこのページで、ノーベル化学賞を授賞した田中耕一さんについて書きました。田中さんはその後、テレビや新聞のインタビュー、講演と毎日を忙しくすごしておられ、本来の自分の研究をする時間がなく過ごされているようです。背広姿もすっかり板に付いたのはいいのですが、本来のジャンパー姿に戻れる日が来るのか、ちょっぴり心配になったりもします……好きなことをやりたいだろうに。
  • さて、わたしは前回、田中さんの科学に対する姿勢をまとめて、
    ・常識にとらわれない。
    ・失敗を怖れない。
    ・労を惜しまない。
    ・楽しんで実験する。
    ということをあげました。そして、その後も田中さんはインタビューで、「失敗を怖れない」ということの大切さをよく挙げていらっしゃいます。このことは、逆に、いまの日本の研究が、いかに失敗を怖れるかということへの警鐘ともとれると思います。すぐ製品化できる研究、お金になる研究、あるいは、お金を貰ってする研究なのだから早期になんらかの成果を出さねばならないというプレッシャー……。
  • このようなことは、学校教育現場でも見受けられるように思います。学校教育では、限られた時間に成果を出すことに主眼がおかれがちで、たとえば、それが夏休みの自由研究というかたちで、子どもたちに課題として与えられることになります。すると子どもたちは、手っ取り早く、見栄えのよいものを仕上げようとする……。
  • 田中さんを持ち出すまでもなく、“手っ取り早く”が優先では、物事にきちんと向かい合う姿勢みたいなものは育たないでしょう。小社に手紙や電話で、○○について教えてください、××の資料を送って下さい、どこで調べたらいいですか、著者に質問があるので電話番号を教えてください、といった問い合わせがよくありますが、こういう問い合わせがあるたびに、わたしはなんともやりきれない気持ちになるのです。
  • 今年も小社のある新宿市ヶ谷の堀に、冬の鳥たちがたくさんやってきました。こちらが寒さに首をちぢませてプラットホームで電車を待っているあいだにも、鳥たちは元気に水にもぐってエサを採っています。もちろん鳥たちは寒くはないのでしょうが、見ているだけでも寒く感じ、ああ、本格的な冬が来たのだなとあらためて思う今日この頃です。
  • 冬の鳥というと、市ヶ谷ではキンクロハジロやオナガガモが多いのですが、最近はユリカモメが群れをなしてやってくることが増えてきたように思います。。
yurikamome-Photo kinkurohajiro-Photo hakusekirei-anime
ユリカモメ(02/11/23、東京市ヶ谷) キンクロハジロ(02/11/24、東京市ヶ谷) ハクセキレイ(02/11/24、東京市ヶ谷)

(画像はクリックすると、少し大きくなります。)

(記)浦城信夫
前回の『編集室雑記』を見る